ブログ内検索

2014年1月13日月曜日

大阪モダン寺を訪ねて

「今年のコモンズフェスタは飛ばしてますね。」実行委員会のメンバーの一人、むつさとしさんが今日、そうつぶやいた。もちろん、Twitterのつぶやきではなく、対面での会話の中での一言である。應典院を拠点にアートとNPOの総合芸術文化祭と標榜する「コモンズフェスタ」は、應典院再建の翌年、1998年から始まった。当初は文化の秋の開催であったが、2007年度からは冬に時期を移している。

冒頭の言葉が実行委員から出てくるあたり、コモンズフェスタの、そして應典院の醍醐味を多くの人に味わっていただく機会を生み出せていると言えるだろう。そもそも、コモンズフェスタは、1997年からの1年のあいだ、應典院に企画・提案をいただいた各種の企画を束ねて「文化祭化」したことで始まった。はじめの2年は実行委員会によって運営がなされたが、2000年から4年間はプロデューサーを起用し、アートの要素を軸としながら、各種の取り組みを重ねた。そして、2年間の休会を経て、2006年から6年にわたっては事務局主導で企画をしてきたものの、2011年に東日本大震災と関連づけた取り組みを最後に、実行委員会体制に原点回帰することとした。

そんな実行委員の一人が観光プロデューサー「など」のむつさとしさんなのだが、昨年度に引き続いて今年も各種の企画を創案いただき、今日はその一つ「大阪モダン寺巡礼ツアー」が行われた。これが実に楽しかった。夏に行われた実行委員会での企画会議の折に提案されたのだが、コモンズフェスタを前に、9月28日にリサーチツアーが、そして12月7日に上町台地マイルドHOPEゾーン協議会による「オープン台地」参加企画として、既に2回実施されている。ちなみに、同じくむつさんの創案で、1月14日に應典院で実施予定の「直観讀みブックマーカー」も、全国各地で実施されていらっしゃる。

むつさんは「モダン寺」として「近代寺、コンクリ寺、マンション寺、イエ寺」を掲げ、非木造寺院としての建てられることになった意味と、その背景を探ることをツアーの目的としている。実際、今日は大阪市の都市計画に基づく道路拡幅工事で移転せざるをえなくなった日蓮宗の単立寺院である「自安寺」さん、御堂筋の整備によって境内地の縮小を余儀なくされた真言宗の「三津寺」さん、そして大阪大空襲による焼失からの再建を移転(島之内から堀江へ)を含めて余儀なくされた浄土真宗本願寺派の「萬福寺」さんにお伺いさせていただいたのだが、やはり、どこもハードとソフトの両面に豊かな物語があった。なんとも、共有地や共有財などと訳される「コモンズ」のお祭り(フェスタ)の一つとして、実に味わい深い一日だった。そんな一日の終わりは、應典院に対するもう一つの職場、立命館の同僚の皆さんとの新年会で、こちらはこちらでローカルな論点とグローバルな視点が織り混ぜてよくしゃべり、よく食べ、よく飲んだイタリアンな夜となった。


0 件のコメント:

コメントを投稿